今、まちにコーディネーターが必要な理由

*前提として…これは「僕個人」が、「杉並区」で生きながらぼや〜んと感じたことを言葉に落とし込んだものです。一般化しており、特定の個人・組織を意識して書いたものではないことを、ご理解下さい。

人口減少やそれに伴う生産人口の減少、更には税収減による公共サービスの衰退…といういわゆる的な未来予測はもちろん、

お年寄りの独り住まい、孤独死、待機児童問題を発端としたまちでの子供の育て方といった既に顕在化されている問題を鑑みても、

“まち”に住んでいる人達が、自ら求める機能・サービスを生み出していく必要性は間違いなく高まっています。 

明確なビジョンを設定し、住民同士で楽しみながら、鼓舞し合いながら、共通の目標や課題に対して向き合う「まちのチーム化」が一層求められるのではないでしょうか。

・・・しかし、今のまちをチームにするのは、極めて難しい。

理由は2つです。

■1 従来からまちに住んでいるプレイヤーと、新しくまちに来たプレイヤーの本質的な違い

分かりやすくするために敢えて極端に分類したいと思います。

◆ 従来の“まち”のプレイヤー

・そこに土地や家をもって住んでいる人達

・まちに歴史と愛着をもっている

・“当たり前”“慣習”で動く

・町会、商店会、消防団、民生委員会などに所属(代々入っている)

◆ 新しい“まち”のプレイヤー

・外部から移り住んだり、賃貸で一時的に住んでいる人達

・まちに利便性と安心感を求めている

・“ルール”や“明確な理由・メリット”で動く

・基本的には無所属。少数がサークル、NPOなど

このように、双方のまちでの在り方は完全に異なっています。

それぞれのプレイヤーが混在したときに生じるすれ違いの一例を、商店会を例に挙げます。

「商店会に加入する」ということについて

従来からのプレイヤーからしたら“当たり前”

・「ここの場所にお店を持ちたい」という想いをもったのも、自分達がこれまでこの場所で商売をしてきたことで賑わいが見えたり、街路灯などの環境整備をしたりしてきたから

しかし、

新しいプレイヤーからしたら“メリットを提示して欲しい”

・高いテナント料を支払って、この場所を借りているので責任は果たしている

・自分のお店にとってメリットのある会であることを知ってから加入したいので、きちんと説明して欲しい

簡単には交わらないであろうことが目に見えています・・・

新しいプレイヤーにとって、一番重要で丁寧な説明を求めたいことは、

従来からのプレイヤーにとっては、説明を求めること自体が可笑しいと思うくらい根源的なことなわけです。

■2 従来からのプレイヤーの、チーム運営に対する知識・経験不足

前述の通り、既存のまち組織に所属している従来からのプレイヤーにとってみれば、地域清掃や祭礼行事など、まちの活動への参加は従来からの慣習であり“当たり前”のものでした。

ただ、“当たり前”の感覚が分からない新しいプレイヤーをまち組織に巻き込むためには、それらの活動について分かりやすく説明したり、魅力を伝えなければなりません。

しかし、従来からのプレイヤーはそういった新しい人達を巻き込んだり、チームを運営したりするのが苦手です。

(1)設立経緯の問題

まち組織の設立が管理する側の都合であったために、組織の在り方や魅力をメンバー自身が考え、説明する機会や必要がなかったこと。

(2)既存の組織の在り方の問題

商店会の家族経営や、地元の慣習で行われてきた行事の運営など、極めて身近な関係の中で、「当たり前の義務」としての組織運営しか体験していなかったこと。

(3)職住分離の問題

朝早くに家を出発し、夜遅くに帰ってくることが多い新しいプレイヤーに対して提示出来る、まち組織に参加するメリットを説明することが難しいこと。

そういったことをを考えると、時代が変わったからといって

・未来を見据えた新たなまちのビジョンを設定しよう

・新しく入ってくる人達も巻き込もう

・みんなで話し合おう

というような、創造性・主体性をいきなり求めることは、あまりにも酷です。

結果として、うまく出来る人は自己流でなんとかやっている…というような、リーダー的立場にいる人の資質に依存した、危うい状態なのが、今です。

■ まちのコーディネーターの必要性

そんな、従来からのプレイヤーと新しいプレイヤーとが乖離してしまう現状に一石を投じるのが、“まちのコーディネーター”だと思います。

【僕のイメージする“まちのコーディネーター”像】

・まちに根付いている、まちの事情を熟知している

・傾聴能力、説明能力、ファシリテーション能力が高い

・自ら企画を立案・制作・実行できる

・一緒に汗をかける

こんなコーディネーターを増やし、従来からのプレイヤーが運営する組織に加入させる。そして、新しいプレイヤーを巻き込みながら、魅力的な“チーム”へと改変するお手伝いをすると。

一人で買い物に行けないおばあちゃん。

我が子の声を“騒音”と言われないか心配しているお母さん。 

そんな、“寂しさ”を感じる今だからこそ、町会や商店会を始めとする従来の地縁コミュニティが必要だと思うのです。

そしてまちのコーディネーターは、そんな従来のイイコトを活かしつつ、未来につなぐ一端を担う可能性を感じています。

僕自身、そう成りたいし、そういう人を育てたい。

早く、仕事として作ってくれないかなぁ(笑)

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