“きける”環境づくりの大切さ
奥さんとの会話の時間を、大切にしています。
大学時代からの付き合いの彼女。
おそらく、性格は正反対(詳しく書くと怒られるので書かない)
しかし、何というか、芯の部分ではものすごく近いんでしょう。
彼女が体験した話を聴いたり、僕が体験した話を伝えたりする時間は、気付きが多かったり、心地よかったりするのです。
ちょうど最近した話の中で、お互い全く違う対象にも関わらず、全く同じような経験をしたことがわかったので、それについて書こうと思います。
聴いて、初めて分かること
今、奥さんは、小学校で英語を教えています。
これはある授業中のお話。
とある生徒が、ロッカーと自分の席の間をうろちょろしている。
手には授業中には関係ない本が。
その生徒はどうも普段から落ち着きがなく、一見どんな理由があるのか分からない行動が多いという。
始業のチャイムがなったにも関わらず、一向に席に座る気配がないので、奥さんはチームティーチングの相方に授業の進行を任せ、その生徒を廊下に連れて行き、しっかりと話をする時間をとりました。
ーなぜ、席を行ったり来たりしていたの?
「英語の授業準備を、休み時間にし忘れちゃったからです」
ーじゃあ今は準備をしようとしていたのか!偉い!じゃあ、その手の本は授業とは関係ないから置いておこうか。
「・・・・・・・」
この話になった瞬間から、生徒はいやだ!の一点張り。「どうせ僕なんかいいんだ!人生うまくいかない!」などと、一方的にしまいには泣きじゃくり、話にならなくなったそう。
辛抱強く生徒の話を聴き、かれこれ15分が経過した段階で、ようやくその本を話さない理由を教えてくれたそう。
「英語の次にある授業の準備をしないと、僕は前に進めないんだ!」
なんと!そういうこだわりだったのか!!!
じゃあ、それも持って準備を終わらせようかというと、さっきまで泣いていたのが嘘のような、すっきりした笑顔で、自分から教室に戻っていったそうな。
奥さんは言っていました。
「今回はたまたまチームティーチングの時間だったから、一人の生徒にこれだけの時間をかけることができた。40人のクラスで、一人で見ている授業では、絶対に同じことはできない。。。」
一見、端から見たら何を意図しているのか全く分からない状況でも、きちんと聴いてあげられる環境さえあれば、その解決の糸口が見える場合がある。
奥さんの話を聴いて、こんな気付きを得た僕の頭によぎったのは、いつぞやのイベントで自身が体験したことでした。
伝え下手は、子どもに限らない
子どもが多く集まる場で、ファシリテーターを担当していたときの話。
子どもの声は、僕にとってはパワーになるし、雰囲気も明るくなっていいので、参加者のみなさんにも「これが社会ですよ〜、受け入れてこの場を楽しみましょう」と、同意を求めた矢先のことでした。
僕の近くのおじさまが、低い声でとっても怒っていたんです。
「なんで、こんなところに子どもを連れてくるんだ!!全くしつけがなっていない!!」
そんな声に驚いている他の参加者の方もいました。
ー理解のないおじさんだなぁ。めんどくさいなぁ。
・・・と、思う人もいるだろうなぁと思いましたが、ここは聴き合いを重んじる場。
僕が進んで、休憩時間にお話を聴いてみることにしました。
(まぁ僕の場合は、場がどうとかというよりは好奇心で聴いてしまうのですが・・)
おじさんの昔のころはどうだったんですか?とか、
どうやったら子連れの若いママさんの力もうまく地域に反映できますかねぇ?とか、
他の方もそういう意見が多いですか?とか、
多方面に質問を投げかけてみたんです。
そうしたら、最初の印象とは全く別の回答が出てきました。
「年寄りになると、高音域の音が頭に響いて調子が悪くなってしまうんだ。若い頃はそんなことなかったんだがね。だから、せめて会議のときぐらいは、話し合いに集中させて欲しいんだ」
なんと!そういうことだったのか!!!
最初のイメージだと、「子ども嫌いのおじさん」
でも、今の話を聴いた後だと、「場にきちんと向き合いたいおじさん」
口から感情と共に出てきた言葉の裏には、自分の中での誠実な場への想いがあったのか・・・そんなんわかるかぁ〜〜〜〜!!(笑)
“きける”環境づくりの大切さ
その生徒と、そのおじさん。
両者に共通しているのは3つ。
伝え方がへたっぴなところ。
でも、自分の中ではきちんとした理由が存在していたこと。
それが分かってもらえない場合、「ちょっと変わった人」と思われかねないこと。
でも、これはパーソナリティーというか、場面によっては誰にでも起こりうることだと思われるのです。
そんなとき、チームティーチングのような、物理的に聴いてあげられる環境を整備すること。
そして、“聴き合いの場”というような、精神的に聴こうと思える環境を整備すること。
これらの必要性を、とても強く感じました。