民主主義は、狙ってつくるものなんじゃないかなぁ。
・・・と思って、もう4年目になります。
そう、僕の杉並区での全ての活動は、ホームページにも書いてありますが、
「民主主義をちょっと変える」ことを目指してのものです。
区民が、「お客様」でもなく、「有権者」をこえて、「主権者」として、
自分達のまちのことを自分達で考えて、自分達で決めて、自分達で責任を感じられる・・そんなまちに住みたいなぁと、僕は思って活動してきました。
具体的には、“すぎなみ会議”というような行政・区議会に並ぶ、新たな会議体をつくろうと思っています。陳情や請願よりも、もっと主体性をもった手段が欲しいから。
まずは区民で考えて、協働して、でもそれでも難しいものだったら、行政も区議会も協力して一緒に取り組もう・・・そんな対話ができてアクションにつながるような場をつくりたい。
こういった一連の動きが「やりたい人達の集まり」にならないよう、杉並区という行政単位に徹底的にこだわってきました。
そして、まずは民主主義のベースである対話できる人を増やそうと考えました。
この膨大な情報、多様な価値観が巡り巡る世界の中で、お互いの違いを楽しみ、受け入れる姿勢をみんなで身に付けていく必要があると思ったのです。
そのために、一番原始的かつコミュニケーションの原点である、「顔と顔を見合わせた対話」の場を準備しました。
それが、杉並区ワールドカフェ・サロン“100とも”です。
そこは安心・安全で、「月に1回ここにくれば杉並のみんなに会える」そんな空間をつくり、お互いの想いや考えを聴き合うことができます。
40名程度の少人数制なので、自分の一挙一動がその場にどれだけの影響を与えるかを、直に感じることができます。
その結果、参加者は、他の参加者に、そして杉並に愛着が生まれます。
「もっと話したいなぁ」「もっと知りたいなぁ」が自然と発生し、結果として人と人とがつながります。
人がつながると、そこには発想とスキルとワクワクが生まれます。
「なんかやりたいなぁ」そんな漠然とした想いが、まちを動かす原動力になります。
これは僕の願いではなく、もう結果として出始めています。
100ともがあったから生まれたつながり・イベントは、Facebook上でカウントするだけでも、2012年1月から今までで276回ありました。
これからもどんどん増えていきます。そういう情報が入ってきています。
この100ともの恩恵は、何よりISPが一番授かっていると思います。
6歳〜86歳までの方々が集まる多様性溢れる場づくりの実践を通じて身につけたファシリテーションのスキルを用いた研修やワークショップを、杉並区の様々な場面で依頼されるようになりました。
区役所、商店街、PTA、青年会議所、地域包括支援センター、小学校、中学校、高校、大学交流自治体・・・わずか3年でこれだけの機関につながることが出来たのは、100ともがあったからです。
しかも、嬉しいのが、“組織”からの依頼ではなく、まずは100ともや地域活動を通して知り合った“個人のつながり”がベースにあっての依頼であること。
自分達自身が、何より対話を通じて生まれたつながりの力を実感しています。
だから、民主主義を信じることができるんです。
このような杉並区内での積み重ねの中で、少しずつ軌道修正しつつ、チャレンジしつつ、しかし「民主主義をちょっと変える」という目的はブラさずに進んでいるつもりです。
4年後は、1つ、大きな変化が起こります。
そして、10年後には、すぎなみ会議がみなさんにとっても、もっとリアルになっているはずです。
・・・・とまぁ、そんな感じで一応、計画的に考えているので、僕は、デモが好きじゃないんです。
民主主義は、夏休み明け前日になったからって猛ダッシュで宿題をやるような爆発力で実現されるものではなく、
日頃の生活の中で、「自分達がまちをつくっている」という自覚を大切に育てていき、それを小さくとも実行しつづける持続力の中で育てられていくものなんじゃないかなぁと思うんです。
莫大な熱量が必要なときも、もちろんあると思います。
でも、熱は冷めます。
じゃあ冷めたときにどうするか。
そこに、強靭な意志で時間と密度をかけて踏み固められてきた強固な主体性と、対話への信頼があると、きっとその後もスムーズに移行していくんだと思うんです。
だからこれまで通り、僕はそっちを担います。
大きく見えている出来事たちは、問題のねっこは全て同じなんじゃないかなぁ。
問題は、いいときもわるいときも、ず〜っとそこにあって。
それを放置し続けて。
だから、僕にとっては全て天候のようなもん。
どうしようもない。しょうがない。今はね。今だけね。悔しいけど。
何を選ぶかでも、誰“を”選ぶかでもない。
変えるべきは、誰“が”選ぶか・・なんじゃないかなぁ。
そんな考え方だから、僕は、天気予報を見ず、傘をもたずに家を出た自分を反省しながら、濡れながら、悔しいなぁと思いながら。
でも歩は止めず、これまでつなげてきた道を信じて、丁寧に進もうと思っています。