オンラインの場づくりにおける、ファシリテーターの役割とは(1)〜開催検討編〜

この度、合同会社Active Learnersとしても公式に「オンライン・ファシリテーター業務の受託」を始めることにしました。

山ノ内・米元、共に実践経験を重ね、会社のサービスとして自信を持って場づくりを行えるというイメージがついたからです。

今回は、ALsがオンライン・ファシリテーターを受託するにあたり、オンラインの場づくりを考えている皆さまと一緒に共有したい視点について、3編に渡って書かせていただきました。

第1編は、開催検討編

「本当は顔を付き合わせてやる予定だったんだけれど、オンラインでの開催も検討しないとなぁ」

「そろそろ何か1つ、始めないとまずい。そうだ、オンラインイベントを開催してみよう!」

…と、やるかどうかはまだ決まっていないけれど、なんとなく考え始めている時に加味したい視点を提供させていただきます。

1.場のゴール(終了後にどういう状態・成果物を目指すか)を確認する

場におけるゴールの重要性は、オンラインであっても変わることはありません。

参加者は、「この場は何を目指している時間なのか」について、安心感や納得感をもって場に臨むことができるようになります。

オンラインの場づくりをする上で意識しておきたいのは、オンラインとオフライン、全く同じプログラムを実行したとしても、同じゴールを目指すことは不可能だということです。

オフラインの場…例えば、ALsが進行役を担当させていただいた、30〜40名程度が同じ会場に集まって行われる研修や対話イベント…をイメージしてみて下さい。

開会時には静かで恐る恐る始まった会場が、プログラムが進んでいくにつれて笑い声や手を叩く音が聴こえてきたり、不意に隣のテーブルから聴こえてきた言葉からピンと閃いたり、休憩時に会場内を移動しながら顔見知りを見つけてぺちゃくちゃ話したり。

そんな何気ないコミュニケーションの積み重ねが「場の温度や熱量」を高め、より参加し易い場を参加者自らがつくっていきます。進行役はそれらを観察・分析しながらプログラムの内容や時間を調整し、結果としてゴールが実現されます。

このような、人が集まっていることによって生じる感覚的な効用を活かしながらゴールの実現を目指す場づくりを、オンラインの場で行うことは極めて困難です。

オンライン上で活用できる様々な機能を用いることで”同じように進行すること”は可能かもしれませんが、「場の一体感」を期待することは難しく、結果としてゴールはオフラインの時よりも少し低めの設定にせざるを得ないと考えます。

上記のように、オンラインで行うことでゴールの実現が難しい場がある一方で、オンラインで行うことでより高いゴールを目指せる場もあります。以下の2ケースはその代表例になります。

ケース1 少人数で元々親しい者同士が集まる場

オンライン故に生じるタイムラグや表情の読み取りづらさなど、コミュニケーションの違和感に大きく邪魔されることなく、場を進めることができます。また、オンライン上で用いることができるツールを上手に用いるスキルさえ持っていれば、必要な情報はすぐに誰かがネットで引っ張ってきたり、共同編集作業が可能なドキュメント等を用いて話し合いを見える化しながら進めたりすることで、オフラインよりも創造的な場をつくることが可能です。

ケース2 主催者が参加者に対して丁寧に情報提供を行いたい場

参加者はカメラ機能をOFFにすることで、自身の姿を見せることなく、一番聴き易い状態で主催者からの情報を取り入れることができます。また、他の参加者の咳払いややる気のなさそうな態度など、細かな挙動に気を取られることもないでしょう。気になることはその場でネットで調べたり、チャット機能ですぐに質問として投げることができるので、モヤモヤしたまま聴くという状態も解消し易いと言えます。

このように、あくまでもオンラインの場づくりは、オフラインの代替ではなく、全く別の手段であると捉えること。

そして、改めてオンラインでつくる場の「ゴール」を意識したときに、本当にそれはオンラインでしたいことなのか・やるべきことなのか・できることなのかを検討する必要があります。

2.場のゴールや参加者に合わせた適切なオンライン・サービスの選定

オンラインの場づくりに活用できるサービスは、多種多様です。

google meet、webex、zoom、spatial.chat、宅のむ、Line、Skype、Facebook messenger、jitsi、pragli

…など、ALsとしても様々なサービスに触れてみました。

「画面上にみんなの顔が並ぶ」「チャットできる」…など、機能を言葉で表現するとどれも同じように思われがちなのですが、例えば「zoom」のようにメイン画面の背景が黒一色であるのと、「宅のむ」のようにオレンジ色+鮮やかな桜の写真(期間限定)であるのとでは、その場への感じ方が全く異なります。

また、上記サービスを一通り試した上で、通信環境の安定具合は、「zoom」が圧倒的でした(我々の場合はですが)

…と、それぞれのサービスについての紹介は、多くの方々が行われているのでそちらにお任せいたします。

いくつかリンクを貼っておきますね。

◯IT review『Web会議の比較・ランキング・おすすめ製品一覧』

https://www.itreview.jp/categories/web-conference

◯BUSINESS INSIDER『Zoomだけじゃない。無料で使えるビデオ会議アプリ徹底比較……Teams、LINEのメリット・デメリットとは』

https://www.businessinsider.jp/post-210635

◯ITトレンド『Web会議システム20選を比較|選び方・メリット・テレビ会議との違いも!』

https://it-trend.jp/web-meeting/article/choice

(リンク×3つぐらい)

このようなサービスの選定は、オフラインの場で例えるのなら「会場選び」と似ています。

そもそもの広さや何人入れるか、ホワイトボードやプロジェクターといった機材の有無、窓の大きさ、壁や床の色、何階にあるのか、バリアフリーの度合い…など、会場の機能は、場づくりを行う上で非常に重要な情報です。

これは、ご想像通り、オンライン・サービスを選択する場面でも全く一緒です。

学校や会社など、クローズドなコミュニティでの会議など形式的な場なのか、

仲間内での交流をメインとした場なのか、

参加者を広く募集するオープンな講演会や視聴者参加型のイベントなのか、

それぞれに合わせたサービスの選定が必要です。

同時に、ネット上には、チャット機能やホワイトボード、付箋やアンケート作成など、様々なツールが提供されています。

これらのツールを組み合わせて使うことも検討する必要があります。

一方で、参加者のパソコンやオンライン環境への慣れの度合いや、データ通信量の度合いも加味し、何を使うのかと合わせて、何を使わないのかも考える必要があります。

以上、第1編「開催検討編」でした。

ぜひ場づくりを検討されている皆さまとは、この段階から一緒に知恵を出し合えたらと思っております。

是非お気軽にご相談下さい。

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