オンラインの場づくりにおける、ファシリテーターの役割とは(3)~開催当日編~
この度、合同会社Active Learnersとしても公式に「オンライン・ファシリテーター業務の受託」を始めることにしました。
今回は、ALsがオンライン・ファシリテーターを受託するにあたり、オンラインの場づくりを考えている皆さまと一緒に共有したい視点について、3編に渡って書かせていただいております。
第1編は、開催検討編
1.場のゴールを確認する
2.場のゴールや参加者に合わせた適切なオンライン・サービスの選定
記事はこちら → https://active-learners.jp/skills-and-mind/role-of-online-facilitator-1/
場のゴールを設定するプロセスで、改めてその場をオンラインで実施する意義や必要性を、自分の中で確立させようというお話でした。
第2編は、開催準備編
3.オンラインだからこそ生じる不安の解消と、トラブルありきを意識した余裕のあるプログラムデザイン
4.役割分担の明確化と見える化
記事はこちら→https://active-learners.jp/skills-and-mind/role-of-online-facilitator-2/
オンラインの場を開催しようとなった時に、どのようなことに意識してプログラムデザインをすればいいのかを、オフラインの場との違いも交えて記載しました。
そして、最後となる第3編は、開催当日編
5.伝わりやすさを意識した進行と適切な機能の使用
…ということで、zoomを使用した会を開催するという前提で、人が集まる場のそれぞれのフェーズにおける進行と、それを補助する機能の使い方についての考え方を共有します。
5ー1.集合時
■「受付」という段階を組み込む
初対面の方が多く集まる場においては、参加者がURLを押して集まったらすぐに開始…でもよいですが、丁寧に「受付」という段階を設けるのも1つの手です。
オフラインのイベントに参加する場面をイメージしてみて下さい。緊張の面持ちで開場に入った瞬間、「こんにちは!」と受付の方に元気よく笑顔で迎えてもらった時の安心感。これをオンラインの場でもつくることが可能です。
〈実施するための方法〉
(1)受付開始時から『ようこそ』的なスライドを作っておいて「画面の共有」をしておき、入室した瞬間の画面が「他の人の顔だらけ」という状態にしないようにする
◯入ったときのドッキリ感は軽減できる
(2)「ブレイクアウトルーム」を複数つくり、主催側のメンバーがそれぞれ待機。来場した参加者を順番に少人数が集うルームに振り分け、そこでの談笑で緊張をほぐす
◯いきなり対大人数を目の前にすることなく、安心感をもって会に参加できる
△主催側の人数がそれなりに必要
△「何時に開始しよう」など、主催側の丁寧なコミュニケーションが重要になる
(3)”spatialchat“や”remo“など、「受付」に向いている別サービスを本番開始まで利用する。時間になったら本会場のURLを共有し、そちらに移る
◯目的にあったサービスを利用することで効果的な場がつくれる
△操作に慣れていない参加者がいる場合、移動などに時間がかかる可能性あり
5ー2.開会時
■本日の主旨・ゴール・プログラムを共有する
会の主催者が、本日の場が何を目指して開催されたものなのか、会の終了時にどのような成果が上がっていればよしとするのか、そのためにどんな段取りで進めていくのかを共有します。場によっては、進行する上での約束事として、グランドルールを設定するのも有効です。
〈実施するための手段〉
(1)「画面の共有」で自身のスライドを参加者に共有する
◯参加者全員が同じものを見て、進行することができる。
△パソコンの処理能力やインターネット回線の混み具合によっては
画像が止まる等のトラブルが生じる可能性がある
(2)事前にスライドを参加者に配布し、読み上げながら進める
◯パソコンの処理能力やインターネット回線の混み具合に依存しない
△参加者が今、何を見ているのかが主催者から分からない
△ちゃんとダウンロードしてくれていない人がいると進行に支障が出る
(3)事前に説明のための動画を参加者に配布し、開始前に見ておいてもらう
◯パソコンの処理能力やインターネット回線の混み具合に依存しない
◯進行にかかる時間が短縮される
△ちゃんと見てくれていない人がいると進行に支障が出る
■緊張や不安をほぐすためのワークを入れる
参加者同士の顔合わせをしながらオンライン環境や操作へ慣れてもらうことで、その後の進行に入りやすくすることを目指します。オフラインではよく行っていた「順番に何かを行う」ことは、参加者に順番の決め方を任せると混乱を招きやすいので、事前に順番を決めておいたり、主催者から指示することで手際よく進められます。また、オンライン環境の不安定さを鑑みると「一緒に音や動作を合わせる」というようなワークは向きません。なるべく、シンプルなものをおすすめします。
〈実施するための手段〉
(1)「チャット」で自己紹介
◯チャットの操作に慣れることができる
◯言葉を発しなくていいので緊張感が少なくて済む
◯「記録」機能を用いることで、終了後も残せる
△後で喋るプログラムがあるなら、別途声を出す機会を設ける必要があるかも
(2)順番に自己紹介
◯声を出す機会をつくることができる
◯その後、「大きめのリアクション」や「反応」機能を用いたレスポンスを
お願いすることで、参加者のオンラインの場への参加の仕方も練習できる
△人数が多い場合は時間や方法を検討する必要がある
5ー3.会の進行中
■プログラムを効果的に進める
様々なプログラムがあると思いますので、一般的に行われることが多いであろうプログラムとそれを実現するための機能・方法を記載します。
〈実施内容とそのための手段〉
(1)話をする人に焦点を当てる
→「スポットライト」機能をホストが話し手に使用する
→参加者に「スピーカービュー」から「ギャラリービュー」への変更を促す
(2)話している内容を記録・見える化する
→外部サービス”conceptboard“”google ドキュメント“など、閲覧・編集機能の
あるオンラインサービスを用いて常に情報等を記録しながら行う
→「録画」機能を用いて、動画・チャットを残す
(3)参加者の反応を拾う
→「チャット」機能に随時気づいたことを残してもらう
→外部サービス”mentimeter“などを用いてアンケートを行う
(4)グループワークを行う
→「ブレイクアウトルーム」機能を用いて、参加者を振り分ける
(5)講義を行う
→事前に録画しておいたものを流す
→その場で「画面の共有」を行い、スライドを見せながら進める
(6)休憩時間を入れる
→画面に釘付けになるので、集中力を消耗しがち。オフラインの場よりも
参加者は疲れているかもしれないということを意識し、休憩を入れる。
その間、チャットなどで質問や意見を発散してもらってもよい
5ー4.閉会時
■会の振り返りを行う
最初に共有した主旨・ゴール・プログラムを改めて共有します。そして、会議形式であれば、どのようなプロセスで会議が進められ、どのようなゴールに辿り着いたか、違和感はないかを確認します。授業やイベントであれば、自分はこの時間で何を得ることができたか、次はどんな動き出しをするかを振り返る時間を設けます。
〈実施するための手段〉
(1)「チャット」機能を用いて、感想・気づき・学びなどを記入してもらう
◯口頭で伝えるよりも素直に表現できることがある
◯「記録」機能で残すことができる
◯全員が同時に実施できるため、時間の短縮につながる
△聴き方を工夫しないと「楽しかった」等の表面的な感想で終わってしまう
△チャットは誤投稿が消せないことを予め伝えておく
(2)”google フォーム“等の外部サービスを用いて、アンケートに答えてもらう
◯主催者が予め目的に合わせて準備することができる
◯質問項目が相手に見える化されるので、主催者の意図が伝わりやすく、
適切な回答が期待できる
△「チャット」機能は、主催者以外の記録を禁止していると、URLを
貼ってもコピー&ペーストできないので注意が必要
(3)順番に口頭で共有
◯会場の一体感を育むことができる
△参加人数によっては、時間がかかったり不必要な緊張感を与えたり
することになってしまう
■懇親会・2次会の場を設ける
オフラインの場では、終了後にちらっと同じテーブルの人と話をする、盛り上がったらそのまま飲みに行く…というような光景が見受けられますが、同じような場をオンラインでも作ることができます。受付時でも紹介しましたが、交流を行いやすい別サービスへ飛ぶという方法も効果的です。
(1)ブレイクアウトルームをつくり、少人数で話す時間を設ける
◯閉会からスムーズに移行することができる
△参加者が、話したい人と話すことができない。移動が難しい
(2)”spatialchat“や”remo“など参加者が自由に移動したり話せる別サービスを利用する。URLを別途発行・共有し、そちらに移る
◯目的にあったサービスを利用することで効果的な場がつくれる
◯2次会感が演出でき、参加者にも本編との区切りを感じてもらいやすい
△操作に慣れていない参加者がいる場合、移動などに時間がかかる可能性あり
以上、第3編「開催当日編」でした。
実施直前の方々でも構いません。ぜひ、お気軽にご相談下さい(^^)
◯合同会社Active Learners ご依頼までの流れ