「ワークショップ」と聴くと、グループで話し合ったり、付箋や模造紙を使ったり…というイメージが先行するかもしれませんが、それはあくまでも「やり方」の1つに過ぎません。

ワークショップは、参加者の主体的な活動によって、その場に設定されたゴールの実現を目指す、人が集まる場を運営するスタイルの1つです。

場の主催者がワークショップ型を取り入れると、結果として下記のような3つのメリットを享受することができます。


その1《実施前》主催者の企画力がアップ

前述の通り、ワークショップ型の場をつくるためには、必ずゴールが必要になります。

ゴールとは、その場が終了した時にどんな成果物を残したいか、参加者にどう成って欲しいかが、誰にとっても分かりやすい言葉で表現された文言のこと。

参加者は、場が始まる際にゴールが明示されることで、この場が何を目指したものなのか、そのために自分はどう動けばよいのかを考えることができるようになります。

更に主催者にとっても、計画段階でゴールをしっかりと意識することで、それを実現するために、どんな段取りで進めて、どれくらいの時間が必要で、参加者にどのような情報や物品を用意すればよいのか、具体的にイメージ・検討できるようになります。

その結果、その場は普段よりもしっかりと練り込まれたものになります。


その2《実施中》参加者の学び定着力がアップ

ワークショップ型の場では、参加者が自分達で考え、答えを作り上げていくことが求められます。

参加者は、自分達の中にある思い込みや決めつけを手放し、様々な人の想いや考え、情報に触れながら、その場で浮かんだ気付きやアイディアの発散を繰り返しながら、ゴールの達成を目指します。

そのようなプロセスの中で、参加者は自分で学んだこと・みんなで作り上げたものに対し、深い納得感を得ることになります。

そしてそれは、一方的に話を聴くだけの場とは比べ物にならないほど、しっかりとその身に定着します。

ちなみに、講演会・勉強会も、ワークショップ型で企画することが出来ます。ゴールは「自分の日常に活かす方法が思い付いている」「他の誰かに説明できるようになっている」といった形でしょうか(逆にそういったことを目指したいのであれば、ワークショップ型で企画することをお勧めします)

その場合、講演者の発表内容は「答え」ではなく、参加者の「思考の材料の1つ」として扱われ、個人で熟考したりグループで話し合う時間を設けることが多いです。


その3《実施後》アイディアの実現可能性がアップ

会の終了後、参加者による自発的な活動を求める場においては、ワークショップ型はまさにうってつけです。

安全・安心が保たれ、対等な立場でのコミュニケーションが約束された場で、参加者は肩書きや立場に邪魔されることなく自由にアイディアを発散します。

そうした活動を通じて「もう出し切った!聴き切った!」という納得感・充足感が、次の段階である、アイディアを決める・絞る・まとめるといった集束を目指したディスカッションの場においても、前向きな姿勢で臨む雰囲気を生み出します。

そして、そのような場で決まったこと・出された結論は、誰かに「ああしろ!こうしろ!」と言われた場合とは全く異なり、自分たちが作り上げたものとして肯定的に受け止められ、参加者の今後のアクションに必ず活かされます。